配線ミスにご注意を!

びおソーラーの松原です。

このところ出張や、ちょっと複雑系の設計案件が続いていて、このブログの更新が滞ってしまいました。今日は久しぶりに時間が出来たので、最近の出来事を書きたいと思います。

びおソーラーが運転するとヒューズが切れる!

先日、施工中の現場から1本の電話がありました。電源を入れてもびおソーラーが運転しないという話。この物件ではオプションの「室内循環機能」が付加されていたので、ソーラーの運転条件が揃っていなくても循環スイッチをONにすればファンは動くはずなのですが、これが全く反応しないという事なのです。原因についてあまり考えにくい事ですが、ヒューズが切れていないか確認してもらうことにしました。びおソーラーのヒューズは端子ボックス上部のヒューズホルダー内に取り付けられています。ただしこれまで運転中にヒューズが切れたという事例は、私が知る限り1件もありません。

端子ボックス

端子ボックスのヒューズホルダー

現場で調べてもらったところやはりヒューズが切れているとの事でした。なぜなのか? 今回使用しているびおソーラーのファンは、AC100V駆動で出力は50W程度。起動時でも1A以下の電流しか流れません。それに対して3Aのヒューズが入っているので理屈から言って切れる訳がない。それなのになぜ? 週末に引き渡しを予定しており、それまでに解決しなければならないという事だったので現場を訪問する事にしました。

配線ミスにご注意を!

現場は神奈川県なので浜松から車で片道3時間半の距離。行きの車中では想定される原因をあれこれ考えながら向かいました。現場に着いて早速、配線状況を確認。と、ここで端子ボックス内の配線が出荷時の状態から現場で変えられている事がわかりました。弊社から出荷する際は下の写真のように端子ボックスと外の機器(電動ダンパーやスイッチ類)をつなぐ部分は短いリード線が付けてあって、この表示と線の色を合わせて結線する事になっています。これを守ってもらえば適切な動作をするのですが・・・

ソーラー+室内循環用端子ボックス

現場に設置された端子ボックスは、このリード線を使用せず、各機器からのケーブルを直接端子台に接続していました。これは間違いではありませんが、リード線を使用しないのであれば配線の確認を厳重に行っていただかなければなりません。今回の現場では以下のような配線ミスが起きていました。

現場に設置されていた端子ボックス

端子ボックスの右側から温度スイッチ(冬)、温度スイッチ(夏)、ソーラー用電動ダンパーの3本のケーブルが入ってくるのですが、どれも同じ仕様の「VCTF2-0.75」になります。現場の配線ケーブルには温度スイッチ(冬)のケーブルにのみ「冬」と記されていて、端子台の規定の位置に結線されていたのですが、あとの2本には何も表示がありません。これが正しく接続されているのか、ケーブルを辿ってみたところ、なんと温度スイッチ(夏)の端子台にソーラー用電動ダンパーが、ソーラー用電動ダンパーの端子台に温度スイッチ(夏)からのケーブルが接続されていたのです。これを適切な位置につなぎ直したら正常動作するようになりました。配線ミスについては、私たちも色々なパターンで検証して、間違えやすい部分には注意書きを同梱するなどの対策をとってきました。前述のリード線方式もその一つでしたが、今回のように現場で変更されてしまった場合のトラブルに関しては想定が不十分だったと思います。「人がやる事」には間違いはつきものとは思っていますが、5分で解決するトラブルのために往復7時間かけるのは無駄が大きい。もっとスマートに対処できる方法を考えて行かなければと思いました。

びおソーラーにおけるトラブルと言えば...

びおソーラーが始まって6年になりますが、その間に起こったトラブルの8~9割は電気配線の接続ミスです。一番多かったのが温度スイッチの夏と冬を逆に接続するというもので、この場合は操作スイッチで「冬」を選択していても昼間は停止していて、温度が下がってから外気を取り入れるので、部屋の中が寒くなってしまいます。この状態を一年以上続けていて「びおソーラーは暖かくない」と言われてしまった事がありました。このミスを無くすためにケーブルの判別を明確に伝える為の工夫を施しています。

ダクト接続ボックスの通線口の表示

二番目に多かったのは操作スイッチへの結線ミス。びおソーラーでは配線ミスを無くすために撚り線のVCTFケーブルを採用し、色で接続位置を指示していますが、一般の建築現場ではVVFケーブルが主流なので、現場でこれに変更されたことで色による接続位置の指示を誤ってしまったという事例も結構多かったです。

その他には、壁の中を通した配線ケーブルを釘等で傷つけてしまって漏電ブレーカーが落ちたとか、電動ダンパーへのケーブル接続時に圧着端子を使ったが、圧着の仕方が悪くてケーブルを断線させてしまって電動ダンパーが開かず、ファンは回れど熱い空気が入って来ない状態になっていたなど、様々なトラブルがありました。

びおソーラーはマイコンを使用せず、中学生レベルで理解できる単純な電気回路で構成していますから、何が原因で動作しないのか?は、プロの方が少し考えればわかりそうなものなんですが、考えるより前に「メーカーを呼べ」となる事が多いのかな。人が関わる以上、ミスは避けられないものだとは思いますが、注意して丁寧に作業してもらえば、前述のようなトラブルは全て避けられたと思います。(松原美樹)