びおハウス加納(長浜)

設計・施工:シーク建設(長浜市)

広大な琵琶湖の北東に位置する長浜市は、湖北地域の中心地だ。
羽柴秀吉が開いた城下町は、楽市楽座で賑わったが、今は歴史をたたえた静かな街並みと、湖と山が織りなす豊かな自然に、心洗われる観光地でもある。

びおハウス加納は、そんな長浜の中心である長浜駅から東へと進んだ、田園風景の先にある。

近年は少なくなったとはいえ積雪のある冬を越え、梅の花とともに春を喜びを感じるこの地域では、びおソーラーは主に春と秋、過ごしやすい「中間期」を延長する役割りを果たす。

冬、外気温がマイナスでも、おひさまが顔を出せば集熱運転はできるが、パネル上に雪が積もるとそうもいかない。
しかし、春の訪れは早く、早々にエアコンを止め、晩秋までエアコンを動かさずに済むのがびおソーラーの効果だ。
夏の夜間は、外の涼気を取り込む夏運転により、特に初夏や晩夏は、夜間と午前中の暑さが多少なりとも和らぐ。

冬の補助暖房としては床下エアコンを設置し、集熱の少ない時期でもびおソーラーと同じ空気の流れで、基礎のコンクリートに蓄熱し、輻射熱で床を温める。

シャープな鉄板屋根に溶け込むデザインのびおソーラーのパネルは3枚。床面積30.4坪の、小さいけど広く暮らせる家の外観はスマート。それでいてぬくもりを感じさせるのは、木のファサードの所為であろう。

室内に入ると、一階はゆとりを持った一体空間。
吹き抜けを通じて光が入り、空気が流れ、上下階のつながりが生まれている。

吹き抜けの麓の掃き出し窓から、段差無く外へと続くウッドデッキは、リビングの一部であるかのようだ。

また、一・二階ともに、作り付けの造作家具が、空間をスッキリと見せている。

二階の子ども部屋も、将来仕切れるようになっているが、今は一体空間。
住まい手の家族構成の変化や、その時々の暮らし方、生活スタイルに対応できる柔軟さを兼ね備えている。

木製の床吹き出し口も、自然室温で暮らす家にはとても似つかわしく見える。

できる限り自然室温で暮らそうというコンセプト。
そんな暮らしを叶える自然の力と自然素材を活かした家に住むと、なんだか季節の移り変わりにも敏感になり、四季の機微を楽しめる。

全国111地点シミュレーションでいうと、長浜市は「京都」のデータをご参照ください。