住むほどに味が出てくる家(高知)

住まい手の千頭さんは、ご夫婦とお子さん2人の四人ぐらしです。住まいづくりを考えて、いろいろな会社のモデルハウスなどを巡ったけれど、どうしても、これだ、というものに出会えずにいました。モデルハウスは、その時の最新の設備や建材が用いられていて、そのときは美しくみえるけれど、時間が経ったらどうなるんだろう? という疑問に応えられるものが見つからなかったのです。
けれど、思わぬところで出会いがありました。ご夫婦が結婚式を挙げた会場を手掛けたのが、勇工務店だったのです。こうして、土佐の木、紙、土を使いこなしてつくる家づくりがはじまりました。

リビングから南側に広がるデッキ。町と家をゆるやかにつないでくれます。

千頭さんは、ピカピカした新しいものよりも、古いものに愛着を覚えるといいます。お子さんのおもちゃも、プラスチックのものはすぐに壊れてしまうし、飽きてしまうけど、木のおもちゃは、傷がつきながらも、飽きずにずっと楽しめます。
そういわれてみると、この家にはプラスチック製のものや、新建材はとても少なくて、木や金属がその代わりをしています。時間が経てば味わいが出てくる、そうした素材で作られたものに囲まれたこの家は、新しくても落ち着く場所でした。

杉板と砂漆喰の壁に囲まれたリビング。一見するとテレビ台に見えるのは、「長持」。

「床が冷たいと感じたことがなくて、子どもも床でごろごろ寝そべってます」
千頭さんの、びおソーラーの感想を聞いたときの言葉です。
無垢の床材は、あたたまりにくいけれど冷めにくいので、びおソーラーのぬくもりをながく保ってくれます。
リビングには、エアコンをつけるための穴こそあれど、今のところは設置していません。どうしても暑い、寒いというときも、2階の寝室の扉を開けてエアコンをつければ、家に空気がまわっていきます。空気は熱を運びますから、その空気の流れをデザインすることが、快適な住まいづくりのポイントの一つです。


設計・施工/有限会社勇工務店