びおソーラーの夏モード
松原です。このところ青トラ訪問記ばかり投稿していますが、たまにはそれ以外の事も書こうと思います。
先日、浜松のびおソーラーの家にお住いのお客様から「夏モード」の動きについてご連絡をいただきました。「夜に涼風取入れしているのは良いが、朝の9時近くになってもファンが回っていて、31℃の熱い空気が吹き出している」というお話でした。恐らく温度検知の条件の問題だろうと思ったのですが、他に不具合があるといけないので、状況確認のために訪問させていただく事にしました。
まずは各機器の動作を確認しましたが特に問題はありませんでした。お客様の話では、昨日の朝は9時近くまでファンが回っていて熱い空気を吹き出していたのだが、今朝は7時には停止していたとの事。このお宅は既存建物にびおソーラーを設置しており、集熱空気を直接室内に吹き出すようにしているため、足元に暖気を感じて不快になったようです。
びおソーラーの温度スイッチとは
びおソーラーの運転を制御しているのは、夏と冬の2つの温度スイッチです。バイメタルという2種類の異なる金属の熱伸縮で接点がON/OFFするというスイッチでファンの発停をコントロールしています。この温度スイッチを作っているのは東京・品川にある松尾電器産業という会社で、独自性があって非常に高い技術力を持つ「下町ロケット」的な会社なのです。びおソーラーの温度スイッチは、夏用は集熱パネル内の温度が30℃以下でONになってファンが運転して涼しい外気を取入れます。夜が明けて集熱面に日が当たり始め、34.5℃以上になると停止します。ONとOFFで差温を4.5℃あけているのは何度も発停を繰り返してしまうチャタリング現象を抑えるためです。一方の冬用は25℃以上でON、20.5℃以下でOFFとなります。
松尾電器産業:http://www.matsuo-ele.com/
朝になってもファンが止まらなかった理由
「昨日は9時まで止まらなかったのに、今朝は7時に停止した」 これはその時の天候の影響を受けていたと思われます。夏用温度スイッチの動作条件は前述のように30℃以下でON、34.5℃以上でOFFですが、今朝は日が射していたので午前7時の段階で集熱温度が34.5℃以上まで上がってファンが停止しましたが、前日の朝は曇り時々雨の天気で気温は29℃くらい。集熱温度も中途半端な日差しであまり上がっていなかった(30℃強くらい)ので、午前9時近くでも運転が止まらなかったのだと思われます。逆に夜の運転開始も同様の事が言え、雲が無い快晴の夜空であれば放射冷却の効果により早くに温度が下がって外気取入れ運転が始まりますが、雲が多い場合は布団を被っているのと同じなので、なかなか温度が下がらず、真夜中になっても運転しないという事もあるのです。もしどうしてもその温度の空気が不要であるならば、びおソーラーのメインスイッチを一時的に「切」にしてファンを止めて頂けば良いでしょう。(あとで必ず「入」に戻して下さい) このようにびおソーラーは「時間」ではなくて「温度」で動いているということを理解していただく必要があります。今回のお客様にもその旨を説明しましたが、理屈がわかれば「なるほど!そりゃそうだ!!」とわかっていただけたました。ただ別の可能性として施工時などに温度スイッチを落下させるなどの強い衝撃を与えていたりすると内部の設定が狂って正しい温度で動作しなくなるという場合があります。以前にも冬用温度スイッチが20℃以下になってもファンが停止しないというトラブル報告があり、このスイッチを調べてみたら設定が大きく狂っていました。施工時に高所から落としてしまったとの事だったのでこれが原因と思われます。設置が完了するまでの温度スイッチの取扱いは丁寧に!を施工者の方に心掛けていただくしかないですね。
びおソーラーはエアコンと違って熱源がお日様と夜空しかないので「こんな時間に何で動いてるんだろう?」と思った時は、まずは窓を開けて空を見てみると良いでしょう。(松原美樹)