青トラ訪問記・集熱パネルのダクト接続ルール

びおソーラーの松原です。

今回の訪問先は静岡県浜松市で建築中の「十文字の家」です。設計は村松篤さん、施工は水﨑建築さんです。浜松市内の現場なので青トラでびおソーラー部材をお届けしたのですが、そのまま集熱面を施工するという事だったので屋根への荷揚げをお手伝いしました。集熱パネル4枚を人力で足場伝いに屋根まで上げるのですが、いい年の3人組で作業したので結構辛かった… 恐らく数日後に筋肉痛にみまわれる事でしょう。(笑 …えない)

水﨑建築

 

集熱パネルのダクト接続位置について

今回のお宅では横型集熱パネル4枚を屋根上に設置します。ダクトの接続位置はパネル4枚の場合、基本的に中央の2枚の内のどちらかに接続するルール(下図参照)なんですが、今回は室内におけるダクト配管の都合から西(左)端のパネルに接続する事になりました。何故「中央のパネルから」というルールを設けているかと言うと、びおソーラーの集熱パネルは集熱構造とダクト構造が一体化されたものであり、複数枚を連結する事で一体の集熱面を構成するのですが、パネルを極力薄くしたいという理由からダクト部分の高さを小さくしているので通気抵抗が大きいのです。中央のパネルにダクト接続すれば4枚のパネル全体から均等に吸気することができますが、今回のように西(左)端のパネルに接続すると反対側の東(右)端パネルの流量が減ってアンバランスな集熱になってしまう恐れがあります。これを改善する方法として今回はダクト接続するパネルの4カ所ある吸気口の内の2ヵ所を板で塞いで、このパネルの吸気量を減らすようにしました。経験的な判断ですがバランスは取れると思います。

十文字の家

横型パネル ダクト接続ルール

十文字の家

西(左)端のパネルにダクト接続するための屋根下地

十文字の家

ダクト接続口 通気垂木の高さに合わせた接続アタッチメントが取り付けられています。

十文字の家

十文字の家

通気量を減らすために一部の吸気口を塞いでいます。(赤枠内)

過去の経験を活かして

このような流量を加減するチューニングは、今から20年以上前に「外付け棟ダクト」という部材をつくったのですが、その時の経験が活きています。当時の集熱ダクトは1月12日に投稿した「築30年のソーラーハウス」にあるような蒲鉾形の半円形ダクトが主流だったのですが、あるプロジェクトでこの半円形ダクトが取り付けられない建物があって、やむを得ず屋根の上に設置する棟ダクトを考えました。

外付け棟ダクト

若かりし頃の自分と外付け棟ダクト

あまり大きなものですと外観上好ましくないので、従来のダクト面積の2/3に絞ったものにしたのですが、ファンにつながるダクトの接続位置によって通気流量にアンバランスが生じることが分かりました。現在もびおソーラー部材の製造でお世話になっている(株)竜洋さんに協力していただいて休業日に工場の一角をお借りして全長12mの模擬ダクトをつくり、各ダクトの通気風量を測定しながらバランスの取り方を模索しました。びおソーラー集熱パネルのダクト断面積は、この時の「外付け棟ダクト」よりも小さく、高さが低いので、より厳格にルールを守る必要があるのです。ダクト接続位置のルールについては「bio solar manual」や「集熱パネル・施工要領書」に記載されていますのでご一読下さい。

十文字の家

無事に集熱パネルの設置が完了しました。

十文字の家

ダクト接続口の穴位置もぴったり合っていました。

「十文字の家」とはお施主様の名前が「十文字さん」ではなくて、建物の平面が「十」の形になっているから。設計の村松さんに確認した訳ではないので「たぶん」ですが、水﨑さんの手によって丁寧につくられています。6月頃に完成予定との事なので、とても楽しみです。(松原美樹)