わらび錦町ゆたか保育園(埼玉)
土地区画整理事業区域に建ち、南側には市立中学校、東西北側には新興住宅が建ち並んでいます。低層の住宅が建ち並ぶ周囲環境に合わせ屋根は単純で緩やかな切妻としています。
建築は土地所有者が、内装工事を補助事業で保育園事業者が整えています。
「建築」と「内装」の事業者が分離されたことで、スケルトン・インフィルが明確に区枠でき、構造の整理により将来異種用途への転換も容易となる計画を実現できています。南側には公立学校のグラウンドなので将来的にも日照が十分確保でき、太陽熱利用を壁面での取得を試みています。
大きく張り出した屋根付きのバルコニーは雨天でも外遊びができます。バルコニ-軒下は陽射しを避けた夏のプール場。RCの外階段が近隣からの目隠しにもなっています。
バルコニー壁面に設置された集熱パネル。
保育室の掃き出し窓は大きく張り出したバルコニーにより夏の陽射しを遮ります。肌寒い春先、窓に影が落ちの日射の取得が少なくなりますが、壁面の集熱パネルには燦々と太陽光があたり太陽の熱を建物内部に取り込んでいます。0歳・1歳児・沐浴室の約20坪をびおソーラー対象範囲としました。床面に近く這って過ごす乳児には優しい仕組みです。(写真 3月中旬に撮影)
2階のホ-ル
吹抜や階段室を通じて建物最上部の開口部より自然通風・換気ができます。
吹抜の腰壁を透明強化合わせガラスにし、安全を確保しながら明るさを1階に落とす工夫です。
腰壁の笠木がかまぼこ型なのです! 園児達がよじ登り転落してしまわないように。
2階の4・5歳児室
専用の遊戯室を持たず、間仕切壁の建具を取り払い壁際に納めることで2部屋の保育室が遊戯室となります。ホ-ルとは欄間でつながり夏の排熱、風通し、自然換気やホールのハイサイドライドからの拡散光を取り入れています。
大屋根ではなくバルコニー壁面に集熱パネルを設置する事でダクト配管長を短くできています。
吹き出し口
巾木をスリット加工し、吹き出し口としました。幼児のいたずらで床下への物の落下防止対策です。
東のコーナーの植樹スペースには「やまざくら」と「わらびりんご」を植えました。
わらびりんごは蕨市のりんご作出家・故吉澤正一氏が「りんごがない季節、病気の人や子供に旬のりんごを食べさせたい」という思いで20年の歳月をかけ開発したものです。春にはやまざくらの花に迎えられ、初夏には旬のわらびりんごをいただく、そんな記憶が残る園生活をすごしてもらいたいですね。
設計 スタジオ・あさか(埼玉)
施工 佐田建設(埼玉)
埼玉県蕨市の認可保育園 69人定員
木造2階建 延床面積134.5坪 準耐火構造(準防火地域)