青トラ訪問記・葉山の家(神奈川県葉山町)
びおソーラーの松原です。
神奈川県葉山町で建築中の住宅が完成間近とお聞きしたので現場を訪問しました。設計は東京の松澤穣建築設計事務所さん、施工は神奈川県藤沢市の(株)デライトフルさんです。設計者、施工者共にびおソーラーについては、これまでに複数棟の経験をお持ちなので、施工指導等は行わずにやって頂きました。工事途中に少しだけ立ち寄らせて頂いた事はありましたが、完成した建物を見るのは初になります。
葉山町役場に近い高台に位置するこの住宅は、眺望が何よりも素晴らしい。特に2階西側の窓から見える相模湾の景色が最高です。
平屋部分の三方には広いぬれ縁が設けられています。バーベキューをしたり、ガーデニングの作業スペースになったりするのでしょうか。軒の出が深いので、ここが外と中の程よい中間領域となって、暮らしをより楽しいものにする場所になりそうです。
びおソーラーについて
この建物の延面積は約30坪強あり、写真のような平屋一部2階建てという形態です。2階建て部分は南向きの3寸勾配屋根なので、ここに横型集熱パネル4枚を配置する計画としました。
薪ストーブの熱も有効利用
初期の段階から薪ストーブが計画されていたので、その熱を有効に活用するために「室内循環機能」の追加を提案しました。薪ストーブに火を入れるのは、夜間か天気の悪い日で、お日様が照っている昼間に使うことは少ないと思います。日が出ている間は太陽熱で暖房・換気していて、日が沈んでソーラー運転が終了すると自動的に室内循環運転に切り替わって建物上部に集まる熱気をファンが吸い込んで床下へ送り、建物全体に広げるようにします。薪ストーブの熱量はすごく大きいのですが、上階ばかりが暑くなって、下階は暖まらないという事が起こりやすいので、びおソーラーの「室内循環機能」と組み合わせる事で、この熱を有効に利用することが出来るようになるのです。
※室内循環機能はオプションです。
1台のファンと2台の電動ダンパー(ソーラー/循環)の組み合わせでシステムを構成します。ファンは24時間連続運転しており、太陽の温度条件でソーラー側の電動ダンパーと循環側の電動ダンパーを交互に開閉させて、流路を切り替えます。通常のびおソーラーより少しだけ複雑系ですが、工事も取扱いもそんなに難しくはありません。薪ストーブから得られる大きな熱エネルギーを一部に澱ませておくのはもったいないので、この仕掛けで空気を大きく動かしてやると良いでしょう。上下階の温度差を小さくすることに役立つはずです。
現在はお施主様への引き渡しが終わって、この家での新しい生活が始まっている事と思います。このところ急に寒くなってきていますが、びおソーラーの効果は感じられているのでしょうか?その後の様子が気になります。(松原美樹)