通風トレーニング② 建物正面からの風と側面を流れる風
松原です。
前回に引き続き通風トレーニングの実験報告をします。
実験②:建物正面からの風と側面を流れる風
建物の南側から風が吹いてきている時、和室の南側の窓を開ければその風は部屋の中に入ってきます。通風には入口と出口が必要なので、東側の窓も開けてやると室内の空気を大きく動かして換気する事が出来ます。が、建物正面の壁にぶつかった風は、側面に回り込んで隣家との隙間を北に向かって流れて行くでしょう。この建物側面を流れる風の影響について実験で確認してみました。
【実験②-1】
2-A:直接風のみの場合の通気量 風上の扉を開けて直接風のみを給気。窓④から排気する。
2-B:直接風+間接風(ウィンドキャッチャー無) 風上の扉から直接風を給気し、窓④を開けて間接風の影響を観察する。
2-A:直接風のみの通気量
2-B:直接風+間接風(ウィンドキャッチャー無)の通気量
直接風を取り込むと室内全体の空気が大きく動きます。通気量も多いですが現実的には建物側面を流れる風が存在するはず。そこで2-Bのように間接風を流してみると通気量が激減しました。これは風上側扉から入った直接風が窓④から出ようとした時に建物側面を流れる間接風に邪魔されたためです。2面開口で計画しても周囲の風の影響を考慮しないと通風の効果が出ないという事がわかりました。
【実験②-2】ウィンドキャッチャーで風の流れを整える。
2-C:窓④「ニ」の位置にウィンドキャッチャー取付け
2-D:窓④「ハ」の位置にウィンドキャッチャー取付け
2-C:「ニ」にウィンドキャッチャーの場合の通気量
2-D:「ハ」にウィンドキャッチャーの場合の通気量
動画が無いのが残念ですが、ウィンドキャッチャーの位置を変えただけで通気量が大きく変わった事がリボンの動きでわかります。開口から距離を離した方が空気を吸い出す力が大きくなって通気量が増加したようです。何だかレーシングカーのエアロパーツのようですね。
ウィンドキャッチャーと言えば外から中へ風を導き入れるものと思いがちですが間接風を利用する場合は、ウィンドキャッチャーで負圧を発生させて室内の空気を吸い出させるようにするのが正しいようです。これはなかなか面白い発見でした。(松原美樹)