通風トレーニング③ 風の入口と出口の関係
びおソーラーの松原です。
通風トレーニング③:今回は風の入口と出口の関係についての検証します。
【実験③-1】入口と出口が対角線の位置関係
3-A:入口 窓①・ウィンドキャッチャー「ロ」 出口 窓⑧
3-B:入口 窓②・ウィンドキャッチャー「ハ」 出口 窓⑧
3-Aの通気量
3-Bの通気量
実験③-1のまとめ
- 通風・換気のための開口部は、入口と出口を対角に配置すると室全体の空気が動く。
- 風は壁に沿って流れる傾向があるので、開口部を内壁に接するように設けた方が風は上手く流れる。
- 家具を配置する際は、内壁に沿って流れる風を考慮してレイアウトすると良い。特にベッドを風の通り道に配置したら気持ちよく寝られるかも・・・
【実験③-2】入口と出口が同軸上の位置関係(1)
3-C:入口 窓①・ウィンドキャッチャー「ロ」 出口 窓④
3-D:入口 窓①・ウィンドキャッチャー「ロ」 出口 窓④・ウィンドキャッチャー「ニ」
3-Cの通気量
3-Dの通気量
実験③-2のまとめ
- 開口部を同軸上に配置する場合は、入口と出口を極力離すようにする。この場合、ウィンドキャッチャーは入口・出口それぞれに付けた方が良い。入口側は導風の働き、出口側は吸い出しの働きをする。また風は必ずしも同じ方向からだけ吹く事はなく、逆から吹く場合もあるので、どちらからでもキャッチできるようにしておくのが良い。
【実験③-3】入口と出口が同軸上の位置関係(2)
3-E:入口 窓① 出口 窓④・ウィンドキャッチャー「ニ」
3-F:入口 窓② 出口 窓③・ウィンドキャッチャー「ハ」
3-Eの通気量
3-Fの通気量
実験③-3のまとめ
- ウィンドキャッチャーは、風の出口側に付けて吸い出し効果を高める方が良い。
- 入口と出口の距離が近いと開口部周辺のみ空気が動いて、大きな換気は得られない。2面開口になるように計画して大きな空気の流れを作るべきだ。
【実験④】すだれの導風効果
妻側で軒がない開口部の場合、午前・午後の日射を遮る方法としてすだれ等の遮蔽物を設置する事になりますが 風を取入れる上では障害物になる可能性があります。実験④ではすだれを取付けた開口部の通気を検証しました。
実験3-Fの通気量
すだれ有りの通気量
実験④のまとめ
- 日差しを遮るためのすだれもウィンドキャッチャーと組み合わせる事により通風量アップに貢献する。
実際の風は、本実験のように一定風量で吹く事はないですし、建物に平行に流れる事もないでしょう。色々な物にぶつかって渦を巻きながらやって来るでしょうから、この実験で得た知見もどこまで通用するものやら?ですが空気の動く理屈をわかって計画した窓と、そうでない窓では働きが違うと思うのです。風を上手に取り入れることができれば、室内に籠る熱気や湿気を持ち去ってくれるでしょうし、エアコンだけに依存しないで暮らす事が出来るかもしれません。エアコンのボタンを押す前に一度窓を開けて外の様子を見てみるという事も習慣として必要なのではないでしょうか。(松原美樹)