秦野の家ご一家
特徴的な五角形型リビングの窓には、庭の緑だけでなく、折り重なった緑の借景が写ります。
神奈川の郊外に建つ、4人家族のための住まいです。けれど、この家は4人のためだけの家ではありません。もともと荒れ地になっていたところに、木を植え、道を広げて家を建てました。広く開いた庭には、近所の子どもたちが自然と集まってきて遊んでいるそうです。近隣の方から「この家が出来てよかった」と言われることもあり、4人のための家であると同時に、その前を行く人たちの家でもあるのです。
びおソーラーとの出会い
実家が新潟で、そこでは広い敷地で走り回ったり、という生活をしていました。秦野でも、そんな暮らしがしたいと、広い敷地、自然の豊富なところを数年間探して、緑に囲まれたこの土地が見つかりました。
設計を依頼した堀部安嗣さんには、いつかお願いしたいとずっと思っていました。堀部さんの建築は、都市部のものも素晴らしいけれど、私は特に自然の中にある建築が好きで、そういうイメージでここに建てたい、とお願いすることになりました。
どんな建築が好きか、ということはめいっぱい伝えましたが、具体的な要望はほとんど出さずに、おまかせしました。
ちょうど、堀部さんが、「里山住宅博in神戸※」を経て、断熱気密性能を高めることと、びおソーラーによる環境づくりに手応えを感じていた時期でした。
びおソーラーも堀部さんからご提案いただき、一も二もなく採用しました。
※地域工務店による期間限定の住宅博覧会。堀部安嗣氏設計による「ヴァンガードハウス」には、同氏初となる『びおソーラー』が採用された。
床が暖かいから、腰が軽くなる
以前に住んでいたマンションに比べると、床面積は倍ぐらいあるので、光熱費が高くなることは覚悟していましたが、実際にはずっと安くなりました。断熱性能の高さとびおソーラーのおかげですね。
暖かさも、人工的に暖めた感じではなく、とても自然で過ごしやすいです。体調がいいですよ。
新潟の実家は、広いけれど寒いので、限られた部屋だけ暖房して、みんなでそこに集まっていました。けれど、この家はどこも暖かくて、あそこが寒い、なんていうことがないから、家の中での腰が軽いですよ。面積としてはかえって広く使えます。
空気の温度だけではなくて、床が暖かい、というのが大きいですね。
夏もすごい仕事をしてくれる
本格的に暑いときには、さすがにエアコンを使いますが、庭との行き来が頻繁なので、窓を通じて外といつもつながっている感じです。
夜間の涼風取り入れで、夏の早朝も快適ですよ。お盆に1週間ぐらい留守にしたことがあって、帰ってきたらさぞ暑いだろうなあ、と心配していましたが、おどろくほど、さらりとして涼しくて。夏も、実はすごい仕事をしているんだな、と体感しました。
びおソーラーの家に暮らして
太陽の熱をそのまま使う、というのはいいですよね。わざわざ電気にしなくても、これだけのことを、通年特に何もしなくてもやってくれるんだし。ランニングコストもほとんどかからないし、とても満足しています。家づくりのはじまりは意匠的なところからでしたが、住んでみたら温熱感、空気感ってすごく大事だってことがわかりました。その両立ができて、本当によかったと思っています。
◆DATA
■物件名:秦野の家
■所在地:神奈川県秦野市
■家族構成:夫婦+お子様2人
■設計:堀部安嗣建築設計事務所
■施工:デライトフル
■写真:堀部安嗣