「自然室温で暮らせる家」を設計する上での第一歩は、建設地の気候特性をしっかり理解して、どれくらい自然エネルギーを利用する事ができるかを把握することから始めます。気象の詳細は気象庁のアメダスデータで確認ができるほか、当webサイトでは、842地点における気温、日射量、降水量等について、下図のように解りやすくグラフ化したものを公開しています。
気温、日射量、降水量
これは浜松市の気象概要グラフです。このグラフから、以下のことが読みとれます。
- 暖房が必要なのは、平均気温15°C以下の期間です。このグラフから、浜松では約5ヶ月間(11月上旬~4月中旬)に暖房が必要であることが読みとれます。
- びおソーラーの集熱は、日積算平面日射量が2000kcal/m²day以上である月であれば十分期待できます。
浜松では一年を通じて2000kcal/m²day以上ですので、びおソーラーの効果は大きく得られそうです。
風
季節ごとに変化する風の向き、強さを把握してうまく利用すると、快適な住環境をつくるための貴重なエネルギー源になってくれます。風配図から地域の特性を読み取りましょう。
上は浜松市の風配図です。前述のように冬は、比較的温暖で日射量も多く、太陽エネルギー利用には最適な場所といえますが、風配図からは次のことが読みとれます。
- 11月~3月頃までは強い西風が吹きつけるのでこの季節風対策を考慮した計画とすべきでしょう。
- 一方、夏場は南西や東方向からの風が期待できそうです。この風を上手く建物内に導き入れるようにして通風、換気に利用します。
さらに、建物単体で考えるのではなく、敷地全体や周辺環境(例えば、冬に西風が強い地域でも、建築地の西を遮るような丘・樹木・建物等で状況は変わります)を把握
しておく必要もあります。敷地をよく見て、その土地の長所を活かし、短所を補うような設計を心掛けてください。
風に配慮した設計
1.季節風を遮りたい面には、大きな開口を設けない。
2.季節風を遮りたい面には、納戸などのバッファゾーンを設ける。
3.季節風を遮りたい面には、生け垣などの防風林を植える。
4.玄関の外側に風除室を設けるか、玄関と居住域との間に扉を設けて外気が直接入らないようにする。
5.季節風を取入れたい面に開口を設け、その反対面に出口を設けることで風通しを良くする。
6.開口部の配置は対角上に設けると換気の効果が高まる。また建物に平行に流れる風に対して開口部の風上側に小壁を設けてやると風の誘引効果により換気が促進される。