めざそう! 自然室温で暮らせる家」にのっとって計画した家が、どのぐらい自然室温で暮らせるようになったのか、温熱シミュレーションで確認してみましょう。

モデルプラン

静岡県浜松市。住宅地内にある平坦な土地で、北側が道路、東側が公園、南と西側に2階建住宅が建っています。木造2階建ての住宅を真南向きという想定です。

敷地図

配置図・1階平面図

2階平面図

立面図

断面図

建設地静岡県浜松市地域区分6地域
敷地面積200.00㎡(60.50坪)構造/階数木造/2階建
1階床面積59.60㎡(18坪)工法在来軸組工法
2階床面積42.23㎡(12.8坪)屋根勾配4.5寸勾配(24.228°)
合計101.83㎡(30.8坪)集熱面方位

計算条件

同一敷地、同一プランで、2つの断熱性能の建物を計算しています。

◆断熱仕様平成28年度基準(断熱等性能等級4相当)HEAT20 G1
UA値[W/m2K]0.870.56
屋根外断熱高性能フェノールフォーム 20mm
内断熱GW10kg 100mmGW10kg 200mm
外壁外断熱
内断熱GW10kg 100mmGW24kg 105mm
基礎立ち上がり押出法ポリスチレンフォームB類3種 50mm押出法ポリスチレンフォームB類3種 50mm
[W/m2K]3.481.94
ドア[W/m2K]3.483.48
内部発熱
居住人数4人家族(延66人時/日滞在)
家電照明炊事16kWh/日(夏季は潜熱負荷2.2kWh/日追加)

コンターマップ

自然室温で暮らせる家の温熱シミュレーションは、ある地域のある土地に断熱・気密性能を持たせた建物をつくった場合、外部からの影響を受けて室温がどのように変化するか、快適な温度にするために必要なエネルギー量はどれくらいか、といった事をその地域のアメダス気象データを用いて24時間、365日の非定常計算を行って求めます。計算結果からは、何月何日の何時に室温が何℃になっているかという事もわかりますが、そのような瞬間的な事よりも1年間の季節の移り変わりの中で室温がどのような状況になるのか、びおソーラーの有無による影響はどの程度なのか、その建物のポテンシャルを1年という時間軸の中で確認する事を重視しており、その確認方法として「コンターマップ」を用います。

コンターマップの見かた

365日、1時間ごとの温度を等高線のようにマッピングしたものです。
横軸は、左が1月1日、右にいくにつれて日が進み、右端が12月21日です。
縦軸は、一番下が0時。中央が正午で、一番上が24時です。
上の図中には、例として「冬の深夜」「夏の昼間」の位置を示しています。冬の夜や、夏の昼といった過ごしにくい時期がどのように変化するかを、このコンターマップから読み取ります。

コンターマップが示す室温はエアコン等による冷暖房は含まれていません。自然室温の中にびおソーラーを加えたらどうなるかを確認するためのものです。

外気温

断熱性能等級4の家 びおソーラーなし

断熱性能等級4の家 びおソーラーあり

浜松のような温暖地であれば、冬は建物の断熱・気密性能を高めるだけでも快適温度範囲(緑~黄色)は広いですが、夕方から朝にかけては室温が低下します。これにびおソーラーが加わると日中に集熱し、蓄熱する事により就寝時間まで快適温度が続きますし、朝方の室温もそこそこ維持できていることがわかります。夏の日中は、びおソーラーの有無に関係なく室温は上がりますが、夜から次の日の午前中にかけては、びおソーラーありの方が低くなっていることがわかります。夜間の外気取入れの効果でしょう。

次に断熱性能を、HEAT20 G1レベルに上げてシミュレーションしてみます。

HEAT20 G1グレードの家 びおソーラーなし

HEAT20 G1グレードの家 びおソーラーあり

どうでしょう?断熱性能等級4の家よりも快適温度範囲が広がり、温度の低い青い部分がごく僅かになりました。もちろん温度だけで快適が得られる訳ではなく湿度や放射等の影響もありますが、建築の性能と太陽エネルギーを上手く利用するだけでこれくらいの温熱環境を得ることが出来るのです。「自然室温で暮らせる家」の意味をお分かりいただけましたか?

【シミュレーションプログラムについて】

びおソーラーの温熱シミュレーション「WinEGCAL」は、「荏原ソフト&計測」の荏原幸久氏がつくられた空気集熱式ソーラーの建物の性能予測ができるプログラムです。現在、ソフトの販売、配布は行っておりませんのでシミュレーションを希望される場合は有償にてお受け致します。