平山温泉郷の家(熊本)

熊本県山鹿市の平山温泉郷には、温泉旅館や立ち寄り湯などが多数点在しています。
そんな里山風景の中に建つ、びおソーラーの家です。

お施主様ご夫妻は、二人とも温泉が大好きで、休日のたびに、あちこちの温泉地をまわっていました。
ゆくゆくは温泉地に暮らしたいね、と話していたときに、この平山温泉に、格安で温泉付き土地が売られていることを知りました。

平山温泉の泉質はとても気に入っていて、これは天啓だ、と、とんとん拍子に話が進んで、土地を取得、建築に至ったのです。

せっかく自然豊かな場所に暮らすのだから、できるだけ外の空気を感じて暮らしたい。
そんな思いから、びおソーラーをご採用いただきました。

冬は外気温が氷点下になることもありますが、びおソーラーと薪ストーブの組み合わせで、とても暖かく暮らしています。

夏は、夜間にびおソーラーの外気取り入れをし、鍵のかけられる格子戸と網戸で通風をしながら、昼は日差しを遮って室内に熱を入れないことで、ほとんどエアコンなしで過ごされているそうです。

軒を深くし、夏は太陽の光を遮り、冬はとりこみます。

格子戸で通風しながら施錠もできます。

ロフトは「大人の隠れ家」的。左にびおソーラーのダクトが見えます。

別にエアコン無しの暮らしをしたかったわけではないのですが、「使わなくても過ごせるから」と笑って語っていただきました。
「いい睡眠を取りたいし、我慢したくはないから」と、蒸し暑い夜などにはエアコンを使う日もあるそうです。けれど、夏だから必ずスイッチオン、ではなく「状況に応じて対応すればいい」という言葉は、当たり前のようでいて、とても心強く感じました。

せっかくの温泉なので、露天風呂!

とてもアクティブな暮らしをされている奥様

家のあちこちに創作物が。

こちらも手作りの表札。

野菜づくりのお話や(お土産に、と仰っていただいたのですが後の行程の関係ででお断りすることになり申し訳ありません)、創作活動の成果をいろいろと見せていただいたりと、愉しいひとときでした。

パッシブデザインの住まいでは、人はアクティブになると言います。機械がなんでもやってくれるわけではないから、人が知恵や工夫で補い、楽しんで暮らす。家を住みこなすって、こういうことなんですね。

(文/佐塚昌則)